エヴァンゲリオン 愛すべき脇役たち

 『新世紀エヴァンゲリオン』は綾波レイ惣流・アスカ・ラングレー渚カヲルなどの人気キャラクターを生み出してきた。また、2007年から始まった『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズからも、真希波・マリ・イラストリアスという人気キャラが生まれた。今回は、そんなキャラには人気・出演時間ともに(圧倒的に)劣るものの、いい味を出している登場人物を紹介したい。

 高橋覗(たかはし のぞく)

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日向マコト(中央)にジャックされる選挙カー。第拾壱話より。
  第3新東京市の市議候補。第拾壱話で市全体が停電する中、きたる市議選に向けて選挙カーを走らせていた。
 第3新東京市とNERVが停電していた時、日向マコトはたまたま地上にいた。使徒接近を何とかNERVに知らせようとする日向。そんな彼の前にタイミングよく車が走ってくるではないか。かくして高橋覗の選挙カーは彼にジャックされてしまった。
 ちなみに高橋覗本人の姿はおろか、声さえも登場しない。上の写真は選挙カーの運転手(左)とウグイス嬢(右)である。しかし、停電時にも積極的に一票を集めようとする彼の貪欲な姿勢が結果的に使徒殲滅につながったことは確かである。

 

セイモア・ナン

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セカンドインパクトについて書かれた教科書。第七話より。
 セカンドインパクトの原因として一般に公表されたのは大質量隕石の南極への落下である。落ちた隕石は直径が10cmに満たないほど小さい。これを落下の15分前に観測したのがメキシコのアマチュア天文学者、セイモア・ナンである。こんな小さなものを見つけることなんて本当にできるのだろうか、なんて考えてしまうが、高速の95%の速さで落下し、質量が4.02×1020tにも達するはどの代物だったそうなので見つけることができたのだろうか。
 
この人物は(エヴァの世界内でも)おそらく実在しない。南極にいた第1使徒アダムにロンギヌスの槍を突き刺したときに発生したエネルギーがセカンドインパクトの本当の原因だからである。しかし、セイモア・ナンに関する上記の情報は教科書に載るくらいだから、世界のほとんどの人が彼の名を知っているはずだ。エヴァの世界内におけるセカンドインパクト以降の歴史において、最も有名な人物はセイモア・ナンであると言っても過言ではないだろう。

 

真弓内閣官房長官

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サキエル殲滅後に政府緊急会見を開く真弓内閣官房長官。第弐話より。

 第3使徒サキエル襲来時の官房長官使徒襲来の事実を隠蔽するため、B-22というシナリオにのっとって政府緊急会見を行った。
 南極の第1使徒アダム、NERVのターミナルドグマにいる第2使徒リリスの存在はゼーレと一部の人間しか知らないはずなので、それ以外の人間が知った初めての使徒サキエルである。誰も知らない状況におかれ、真弓内閣官房長官も様々な対応に追われたのだろう。ガッチリとした体格ながら、どこかゲッソリとした顔つきに見えなくもない。この時(上の写真のシーン)、どこのテレビ局でもこの会見を中継していたので、国民の多くがこの顔を目に焼き付けたことだろう。