結局、新劇場版の舞台は何年なのか？ - 第弐話　見知らぬ、天丼

　3月30日のブログの冒頭で、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の時代設定は2015年だが、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』のそれはよく分からないということを述べた。今回は、新劇場版の年代がいつなのかについて少し考えてみたい。*1
　先に述べておくと、このブログで新劇場版の舞台が何年かについて結論は出ない（出せない）。このテーマについて私自身あまり整理できていないし、そもそも考察することがあまり得意ではない。というわけなので、ふと気がついたことを備忘録的に書いていく、ということになると思う。あまり期待せずに読んでいただきたい。

　新劇場版では、旧世紀版（テレビシリーズ＋旧劇場版）と違って時を表す情報がほとんどない。当然、テレビシリーズのように「時に、西暦2015年」なんていう文字が出てくることもない。テレビシリーズでは学校の教室の黒板から日付が分かることもあったが、新劇場版ではそのようなことはほとんどない。例外は『：序』の以下のシーンくらいである。*2

f:id:le_cheval:20200430215853j:plain — 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版：序』より。（公式アプリEVA-EXTRAより。）

　これは第５の使徒を倒したシンジが家出してしまった後のシーンである。学校の教室の後ろの黒板から、これが7月であることが分かる。21日か27日か29日だろう。*3いずれにしても、月・日までは推測できても年については分からない。
　年についての情報が読み取れるのは、以下のシーンである。

f:id:le_cheval:20200430222236j:plain — 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版：破』より。（公式アプリEVA-EXTRAより。）

　これはシンジがゲンドウと共にユイ（シンジの母親、ゲンドウの妻）の墓参りに来た時のシーンであるが、目を凝らすとユイの墓に「2004」という数字を見つけることができる。アニメでも墓参りのシーンが存在し、ユイが死亡した（初号機に取り込まれた）年は2004年となっている。

f:id:le_cheval:20200430223858j:plain — 碇ユイの墓。1977-2004と書かれている。『新世紀エヴァンゲリオン』「第拾伍話　嘘と沈黙」より。

　よって、この「2004」という数字は碇ユイが亡くなった年*4であると考えることができるのではないだろうか。そうすると、碇シンジたちは2004年以降の世界を生きていることになる。
　また、墓参りの時にゲンドウが「3年振りだな、2人でここに来るのは」と言っており、ユイが死亡してから少なくとも3年が経過していることが分かる。これは『：破』の世界が2007年以降であることを示している。さらに、『：Q』で冬月がシンジに見せた写真（幼いシンジを抱くユイの写真）から、『：破』まで10年程時間が経っていると考えられる（写真の中のシンジは３～４歳だろう）*5ので、『：破』の時点ではアニメ同様2015年あたりであると推測することができる。

今回のまとめ　
　新劇場版では海が赤くなっている。このことから、新劇場版の世界が『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』の後の世界であるという考察も多い。また、新劇場版ではシンジに対する各登場人物の接し方が旧世紀版に比べて優しくなっていることから、旧世紀版と似ているが異なる世界が繰り広げられているのではないかという考察もある。いずれにせよ、旧世紀版と新劇場版はつながっている、ループしているという考えが多い。
　しかし、碇ユイの墓から考えてみると、新劇場版の舞台は意外にも2015年周辺なのではないかという案が浮上した。こう考えると、赤い海もセカンドインパクトの規模がアニメより大きかったからだと考えることもできるかもしれない。
　ただ、「2015年周辺説」を採っても説明しきれないことはある。例えば、『：序』の「また3番目とはね。変わらないな、君は。」や、『：破』の「今度こそ、君だけは幸せにしてみせるよ」というシンジに対するカヲル君の言葉などだ。これらの発言に関しては、カヲル君が旧世紀版のシンジを知っていた、という読みをした方が自然であると思われる。
　また、『：破』のユイの墓を凝視すると、「2004」の前にも「０」という数字あり、その前にも何らかの数字があるようにも見える。あれは「2004」ではなくて「…02004」という大きな数字なのかもしれない。謎は深まるばかりだ。