瞬間、心、重ねたのはいつ?

 アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の舞台は2015年である。第壱話から順番に見ていくと、様々な出来事が起こる。見ているうちにそれぞれの出来事が何日に起きたか気になって寝られなくなることがあるかもしれない。今回は、劇中のいくつかの場面が何日に起こったか考えたい。

アスカ、来日
 アスカ初登場は「第八話 アスカ、来日」である(各放送回のオープニングを除く)。この第八話の最終盤でアスカはシンジ達のクラスにやってくる。この時彼女はクラスメイト達に挨拶をするのだが、彼女の背後の黒板に日付が書かれている。

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アスカが転校してきたのは9月21日(月)(『新世紀エヴァンゲリオン』「第八話 アスカ、来日」より。)

 このシーンから、アスカが転校してきたのは9月21日(月)であることが分かる。以前にも書いたが、現実の2015年9月21日も月曜日である。
 ここで、アスカ転校の9月21日の曜日が現実世界の同日の曜日と一致したという事実から、「エヴァの世界の2015年のカレンダーは現実世界の同年のカレンダーと同じである」という仮定をしてみたい。

 瞬間、心、重ねて
 「第九話 瞬間、心、重ねて」はシンジとアスカのユニゾンが見られる回であり、人気があると思う。この回で登場する使徒は第7使徒イスラフェルである。第八話でアスカとシンジは第6使徒ガギエルを殲滅しており、上述の9月21日より前の出来事である。順番としては「ガギエル→アスカ転校→イスラフェル」となるので、このイスラフェル戦は9月21日以降ということになる。
 さて、シンジとアスカはイスラフェルと初めて戦った際にあっさり敗れてしまう。そしてこの使徒を倒すために二人はユニゾンの特訓を6日間行った。リベンジの時はとある月の11日の金曜日である。

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決戦は11日の金曜日!(『新世紀エヴァンゲリオン』「第九話 瞬間、心、重ねて」より。)

 これは上述のように9月21日以降であると考えられるので、それ以降で11月が金曜日になる月を現実の2015年のカレンダーで確認してみると、12月が当てはまった。しかし、第6使徒戦が9月21日よりすこし前で、第7使徒戦が12月11日であるとすると、あまりにも間が開きすぎている。また、後述のように第9使徒マトリエル戦は10月23日(金)か11月13日(金)であると考えられるため、時系列的に第7使徒戦が12月にあるのはおかしい。
 ちなみに、2015年の9月も11日が金曜日であるが、これは第7使徒戦が9月21日以降であるという前提に反する事実である。
 また、この劇中のカレンダーには日と曜日以外に六曜と日干支が記されている。現実の2015年の9月と12月の六曜は、このカレンダーとは一致しない。また、1902年から2020年までの各月のカレンダーを確認してみたが、日・曜日・六曜まで一致する月は数例あるものの、日干支まで一致する月はなかった。*1このことから、この劇中のカレンダーは架空のものだと言わざるを得ない。第6使徒の時とは異なり、第7使徒の日付の設定は現実の2015年とは異なるようだ。

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立秋」の文字から8月だと分かる。(『新世紀エヴァンゲリオン』「第九話 瞬間、心、重ねて」より。)

 1枚目のカレンダーの数秒後にこのシーンが映る。これは1枚目には見えていない8日であるが、ここには二十四節気の一つ、立秋が記されている。立秋はおおむね8月7日か8日である*2。したがって、このカレンダーは8月ということになる。ということは、第7使徒戦は8月なのだろうか。第7使徒戦が8月であるとすると、9月21日より少し前である第6使徒戦と時系列が逆になってしまう。
 第7使徒イスラフェル戦の日付にはいろいろな矛盾があるようだ。検索サイトで「エヴァンゲリオン 年表」などと打って検索すると、色々なサイトに第7使徒戦が10月11日と書かれている。しかし、9月21日が月曜日に設定されていることから、2015年10月11日は必然的に日曜日という設定になるはずであり、これは正しいとは言い難い。かといって、9月11日も12月11日も上に記したように正しくなさそうだ。謎は深まるばかりである。

静止した闇の中で
 「第拾壱話 静止した闇の中で」に登場するのは第9使徒マトリエルであるが、これが襲来した日もある程度推測できる。使徒襲来の日の朝、冬月が電車で新聞を読んでいる。はっきりと見分けることはできないが、この新聞に日付が記されているのである。

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よく読めないものの、左上に日付が記されていることが分かる。(『新世紀エヴァンゲリオン』「第拾壱話 静止した闇の中で」より。)

 目を凝らすと、(二桁)月(二桁)日であることが分かる。よって、月は10月・11月・12月のいずれか、日は10日以降であると言うことができる。

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○3日(金曜日)であることが分かる。(『新世紀エヴァンゲリオン』「第拾壱話 静止した闇の中で」より。)

 最初の新聞のシーンの数秒後にこの寄りのカットが入るのだが、新聞の日付に注目すると、3日(金曜日)と書かれているのが目に入る。
 この二つのシーンから、この日が「10~12月○3日(金)」だと判断することができる。ここで、「エヴァの世界の2015年のカレンダーは現実世界の同年のカレンダーと同じである」という仮定を持ち出して現実の2015年のカレンダーを確認してみると、この条件に当てはまるのは10月23日(金)と11月13日(金)である。よって、第9使徒が襲来した日はこのどちらかだと言うことができる。

最後に
 瞬間、心、重ねてで見てきたように、「エヴァの世界の2015年のカレンダーは現実世界の同年のカレンダーと同じである」という仮定は相当あやしい。9月21日が月曜日だったのもたまたまかもしれない。この仮定が正しくなければ、第9使徒マトリエルが襲来した日も推測と異なる。そもそも日付に深い意味などないのかもしれない。
 




*1:日・曜日・六曜・日干支を検索する際には以下のサイトを用いた。
「2015年(平成27年)未年[ひつじ年]カレンダー」(http://www.benri.com/calendar/2015.html)、2020年5月29日閲覧
「干支計算」(https://www.calc-site.com/calendars/zodiac)、2020年5月29日閲覧
手作業で確認しているので、見落としている可能性はある。

*2:現実の2015年の立秋は日本では8月8日である。