綾波レイの誕生日って何年?

 3月30日は『新世紀エヴァンゲリオン』の登場人物、綾波レイの誕生日である。*1そこで今日は綾波レイの誕生日に関する個人的な見解について書こうと思う。これはいわゆる旧世紀版(テレビシリーズ+旧劇場版)に関する話であって、2007年以降の新劇場版には当てはまらない。というのも、新劇場版は劇中の年代がはっきりとしないからだ。その点、旧世紀版では冒頭からはっきりと「時に、西暦2015年」と明示されているので考えやすい。

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時に、西暦2015年

 3月30日生まれというのはいわゆる早生まれである。しかしこのことが、エヴァの世界では少し面倒な事態を引き起こしているのではないかと思う。ここで問題となってくるのが、綾波レイは「2001年3月30日生まれ」と「2002年3月30日生まれ」どちらなのか、ということだ。順を追って考えたい。

2001年3月30日生まれの場合
 EVAパイロットの基準として、「14歳の少年少女*2」というものがあったと思う。物語の舞台は2015年なので、綾波が2001年生まれの場合、この条件に合致する。しかし、これだとある問題が生じる。それは「碇シンジと学年がずれるのではないか」ということだ。
 劇中では、シンジと綾波は2年A組の同級生である。ところが、もし仮に綾波が2001年生まれだとすると、本来二人は同級生にはなり得ないはずである。2001年生まれの早生まれの生徒は、2000年生まれと同学年になるはずで、シンジより1学年上になると考えられるからだ。シンジと綾波が同級生であるというのは作品そのものにとって重要である(同級生でなかったら、シンジが綾波の家を2回も訪れることはなかったかもしれない。あの2回は2人の距離感が変化するきっかけになっており、ストーリーに大きな影響を与えている)ので、綾波が2001年生まれだとは考えにくいだろう。もっとも、NERVの力をもってすれば生徒1人を1学年下に入れるなど容易いことかもしれないが。
 なお、漫画版(貞本エヴァ)においては、綾波の誕生日は2001年であるということになっている。*3

2002年3月30日生まれの場合
 この場合、2002年生まれの早生まれの生徒は2001年生まれの生徒と同学年になるので、「碇シンジと同級生」という条件はクリアしている。しかし、2002年生まれであるとすると2015年時点では13歳ということになり、エヴァパイロットの「14歳」の基準は満たすことができない。

 2001年誕生説、2002年誕生説のどちらを採用しても設定やストーリーと矛盾することが分かった。ただし、注1のようにEVAパイロットの年齢に「13歳~15歳」という幅があると考えると、2002年誕生説の方が自然であるように思われるので、私個人の見解としては2002年説を採りたい。

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第伍話でシンジをビンタするレイ

 では綾波レイは2002年3月30日生まれということで結論付けても良いのだろうか。ここまで考察してきてこんなことを言うのもなんだが、どうもそうとも言えないのである。それはなぜか。

 綾波レイの肉体は、碇ユイ碇シンジの母親)がエヴァ初号機からサルベージされた時に得られた肉体をベースにしているからだ。大雑把に言うと、綾波レイ碇ユイのクローン的存在なのである。

 碇ユイはEVA初号機との接触実験を行った際に、事故でEVA初号機に取り込まれてしまった。2004年のことだった。取り込まれたユイを取り戻そうとサルベージが実行されるが、得られたのは肉体だけで、魂は初号機に取り込まれたままになってしまった。*4その際に得られた肉体を元に作られたのが綾波レイである。よって、綾波レイの誕生は早くても2004年ということになる。

 また、その時に誕生した綾波はなんと2010年に殺されてしまう。赤木ナオコ赤木リツコの母親)に首を絞められて死んでしまうのである。

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第弐拾壱話に登場するレイ(1人目)。この後赤木ナオコに扼殺される。

 したがって、我々がよく知る綾波(第壱話~第弐拾参話で自爆するまで)は2人目の綾波レイであり、2010年以降に誕生したことになる。13歳~14歳の見た目をしているが、実際は誕生して数年しか経っていないのである。ただし、この事実は碇ゲンドウ冬月コウゾウ赤木リツコといった限られた人物しか知らない。

 これらのことから、以下のように結論付けたい。「我々の知っている綾波レイが誕生したのは2010年以降である。しかし劇中でこのことを知っているのはごく一部の人間であり、(劇中において)対外的には2002年3月30日を誕生日としているのではないか。」

*1:誕生日が「不明」という説もあるが、今回は「3月30日」であるとして書き進める。

*2:この条件が必須かどうかは疑わしい。渚カヲルはフィフス・チルドレンであるが、彼は2000年9月13日生まれであり、第弐拾四話で登場した時は既に15歳であった。また、惣流・アスカ・ラングレーは13歳でEVAに乗っていたと思われる。彼女の誕生日は2001年12月4日であり、第拾壱話時点でもおそらく14歳には達していなかった。(電車で冬月が読んでいる新聞の日付・記事から第拾壱話は8月~10月なのではないかと思われる。)(アスカの年齢に関しては、私が第拾壱話の画像を元に推測した個人的な意見であり、話半分に聞いてもらいたい。)いずれにせよ、厳密に14歳でなければならないということではなく、「13歳~15歳」というような緩い条件なのかもしれない。

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第拾壱話冒頭で冬月が読んでいる新聞。日付と記事から8月~10月なのではないかという推測ができる。


*3:貞本義行の漫画『新世紀エヴァンゲリオン』の公式ガイドブックのp.20では、綾波の誕生日は2001年3月30日と記されている。

*4:ユイのサルベージ及び綾波の誕生に関しては、「リリスの魂」や「アダムの遺伝子」などややこしい要素が絡んでくるが、本題から逸れるのでここでは省いた。